企業の偽装問題が、社会経済を直撃する (建築不動産業界への影響)
昨今、いわゆる企業の偽装問題が盛んに報道されるようになりました。少し前の建築偽装問題から始まり、不二家・ミートホープ・白い恋人・赤福・お福・比内鳥・ニチアス・東洋ゴム ・・・ なんにも見なくても、スラスラ言えてしまうところが残念です (悲)
これらの企業は、いわゆる老舗や有名企業ばかりです。なのに消費者を欺いてまで自社の利益を優先する論理が、わたしには理解できません。そこには創業社長の驕りや、経営陣の姿勢に元凶があると言わざるを得ません。
人間は弱い生き物です。この状況は、一度でも悪事に手を染めて 「おいしい汁」 を吸うと、正義に対する感覚が麻痺してしまい、どんどんエスカレートしてしまうケースの典型だと思います。 (企業の効率化とは別次元の話です)
「コンプライアンス遵守と顧客満足追求を柱に経営をする」 “青臭い” といわれようとも、経営者は愚直なまでに従業員一人一人にその意識を浸透させるべきです。
さて今回は、建築偽装問題の影響に話題を絞り
「行政の対応が建築不動産業界を揺るがしている」
という話をしようと思います。
○行政の違法建築対策 ― 建築不動産業界ひいては、社会経済全体へ大きな影響も
一昨年に発覚した耐震強度偽装や欠陥住宅問題を受けて国土交通省は今年、建築基準法改正を施行しました。
※建築基準法改正内容
⇒ 専門家による構造計算書の再審査制度 (ピアチェック) の導入及び、建築士や 法人に対する罰則の大幅な強化など
※こちらの過去ブログにも、基準法改正関連のコラムを書いています ↓
http://d.hatena.ne.jp/ageing-field/20071004/1192458767 (建築コストから見た家賃の話・追記部分)
今年の建築基準法改正については、過去にこのブログでも書かせていただきましたが、どんどんその影響は業界に広がっています。
わたしの知り合いの建築会社の社長さんによると、今年の7月から4件出している住宅の確認申請が10月にようやく1件おりたそうです。自社の事業計画の見直しもさることながら、この社長さんにとって一番の心配事は、お客様との信頼関係の先行きです。
「役所の都合で着工が遅れている」 これ以上の説明を顧客にすることができない、年内引渡しを約束しているにもかかわらず見通しがたたない、それを考えると胃が痛くなると社長さんは真顔で話します。
“そんな現実が、全国的に問題になっている” これは事実のようです。今日のNHKの特集でも取り上げていましたが、住宅着工数は今年の8月から3ヶ月連続で、前年同月比マイナス40パーセント前後で推移しているとのこと。マイナス40パーセントですよ!
それに伴い、生コン会社や木材のプレカット工場などが、ほとんど稼動していない状況もテレビに映し出されていました。経営もさることながら、そこに働いている従業員への雇用問題も懸念されます。
今回の基準法改正で、確かに違法建築は減るかもしれません。しかし今まで通りの流れで、キチンと機能しない法令を施行した行政に、責任はないのでしょうか? 今ごろ、行政担当者向けの法令解釈講習会を開いて、どうするの?
年金支払い問題、さらに年金着服、薬害肝炎問題、防衛省癒着問題、林野庁 「みどりのオーナー制度」 問題 ・・・ 先に書いた企業の偽装問題じゃないですけど、こちらもスラスラかけるぐらい行政の怠慢は酷いものです。
今後、消費者の住宅購入手控えなど、消費行動にも影響がでれば、社会全体の経済に影響は必死です。
○来年以降にも、建設不動産業界に打撃をあたえる行政の動きがある
2008年以降にも国の施策において、建築不動産業界に悪い影響を与えそうな動きがあります。
- 確認検査の4号特例の廃止
⇒ 木造3階建て以外の木造建築物は構造計算書(壁量)、伏図が義務づけられていないが、その廃止が予定されている。つまり、今回の基準法改正によって膨大に増えた提出書類が、さらに加わるということ。混乱は必至か?
- 特定住宅瑕疵担保責任履行確保法の施行
⇒ 買い主(消費者)に引き渡される物件について 「売り主は供託金を積む」 または 「2008年春に指定予定の住宅瑕疵担保責任保険法人へ二千万円以上の保険に加入する」 かのいずれかを選択しなければならない。これなどは、宅建業者さんへの影響も懸念されます。
北海道新聞 「見るくらし専科」 に詳しく記述されています ↓
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/kurashi-senka/13079.html
- 消費税増税
⇒ はっきり言って、有意義な目的のもとではなく 「いろいろな政府施策・行政怠慢のツケを国民に押し付ける」 ために消費税を上げるとしか思えません。
最後に
今後、日本社会は 消費税・物価が上がる ⇒ 国民の所得 (給与所得) が下がる の構図において、経済のみならず、あらゆる局面で歪が顕著化しそうな状況です。
これからも、わたしたちは 「企業のトップ」 や 「官僚」 の振る舞いに、翻弄され続けて行くのでしょうか? 格差社会問題を含め、その解決への道のりは、まだ遠いと感じています。
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※格差問題の過去ブログは、こちらになります ↓
http://d.hatena.ne.jp/ageing-field/20071029/1193597108