利回りについての能書き ― 収益物件に買い付を入れる前に


不動産会社に勤務していたときは、市場に出る前の収益物件売買の話を耳にすることが多々ありました。実際、売買に至ったケースもありますが、そのケースでも表面利回でさえ15%を越える物件は、やはり少なかったです。 


とはいっても、この表面利回りが曲者なのです。さまざまな条件から物件を分析し、やり方によっては、利回りが低くても実は 「宝の山だった」 なんてことも珍しくありません。
(何億も投資してスケールメリットを出している物件や転売目的の物件は、ある意味このブログにはあてはまりませんから、話題としては除外しています)


北海道新聞の収益物件情報を、いつも見ている家主さんがいました。、

「たまに良い物件が出ているよ」

なんておっしゃっていましたが ―― これらは実際、業者間で流通させることのできなかった “残り物” です。 (但し 「リメイクされている戸建」 「新築アパート」 など、エンドユーザー向けの物件を除く)


それでも視点を変えて、空きの多い物件を安く買い、満室にして (費用対効果のある投資をして) 実質利回り15%を実現している、つわものの家主さんも実在します。


収益物件についての利回りの真実

先ほどから、 「利回り」 という言葉を使っていますが、利回りが投資の目安にされていることは、ご存知のとおりです。しかし、ベテラン家主さんについては問題ありませんが、副業的に収益物件を買おうとしている方やこれから家主さんになる方の中には、「本当のところをご理解されていない」 ケースがあります。おさらいをして見ましょう。

  • 利回りの種類
    1. 想定利回り 
    2. 表面利回り
    3. 実質利回り


1.想定利回り(予想利回り) 
満室を想定(予想)した年間の家賃収入を物件価格で割ったものです。


 想定利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100


新築収益物件で使われるケースが多いです。まだ入居者がいない場合に、満室時を予想しての利回り表示になります。中古収益物件にも使われますが、札幌では主に媒体広告(新聞、情報誌等) に載せる場合に見受けられます。



2.表面利回り(単純利回り)
単純にその時の年間の家賃収入を物件価格で割ったものです。


 表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100


1.の想定利回りと同じと考えても良いと思います。あえて違うところは、こちらのほうが 「業界用語っぽい」 という程度でしょうか? (笑)


1と2は、諸経費などは計算に入れていない数字なので、あくまで初期的な判断材料です。



3.実質利回り(ネット利回り)
一般的には、年間の家賃収入からランニングコストを引いた額を、投資金額で割ったものです。


大切なのは、正確な収支シュミレーションを立案するに当たり、さらにイニシャルコストも加えて計算することです。併せて、年間の家賃収入も現況空室率に即したものを採用します。

  • ランニングコスト(年間運用経費) ― 火災保険料、固定資産税、都市計画税、賃貸管理費、ローン金利が代表的。収支シュミレーションを作る際は、さらに空室率及び修繕費用なども想定するのが理想です。 (融資返済10年以上のケース)
  • イニシャルコスト(購入時経費) ― 印紙税、登録免許税、不動産取得税、管理手数料、仲介手数料、ローン手数料等(保証料・団信)、司法書士報酬が代表的。仲介手数料も馬鹿になりません。3000万円の物件で約100万円ですから・・・。

また私の場合、必要に応じて 「満室経営スタートのための改修費」 + 「広告料」 も見込んでいました。



実は、先に紹介した 「空室の多い物件を安く買う」 つわものの家主さんに対しては、こんな手法で支援させていただいたのです。


ということで、


 実質利回り(%)
 =(年間実質家賃収入−年間の運用経費)÷(物件価格+購入時経費)×100


ここまでシビアに計算できれば、実質利回り10% でも充分安定した収益を、あげることができると考えています。


実質利回りについては、購入物件の空室率が密接に影響してきます。賃貸経営をスタートするに当たり、利回りに惑わされずにしっかり手当てをして、負の要素(空室)は解消しておいたほうが賢明です。



いい物件ないかい? 3000万円ぐらいなら買うよ


と、気軽に聞いてくる家主さん・・・あなたのことです!


いい物件は、自分でつくるものですよ。


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