原状回復よもやま話
「原状回復の調査に来てくれないかい?」
過去には、こんな仕事もしていました。
お付き合いのある家主さんの内 「自主管理」 の方からの依頼ですが、たまに管理会社の方からも依頼されることがあります。
その際は、建築的な判断 (補修方法、キズ・汚れ・結露等の経緯判別)のみならず、現状回復に値するかどうかの判断も求められます。
しかし、私は建築士であっても弁護士ではない! (笑)
「原状回復の範囲かどうか」 についての回答を、期待されているとは判っているのですが・・・正直、つらいです。
そうはいっても、この部分でお役に立てないと 「普通のリフォーム屋」 になってします。そこで私なりの視点から、いつも以下のようなスタンスで、お話させていただいていました。
●家主さんの原状回復にまつわるスタンス
私が家主さん (管理会社) と 「原状回復」 についての打ち合わせに入る前に必ず、頭に入れておくことがあります。それは
「いままでは、退去する入居者に対して、どのような原状回復の姿勢を執っていたか」
という点です。 (初めてお会いする場合は、このポイントを必ず確認します)
つまり、原状回復の範囲かどうかの判断基準は 「家主さんの原状回復にまつわるスタンス」 に大きく影響されるからです。
原状回復の範囲を画一的に断定することは事実上、無理だと私は考えています。
一般論で 「国交省の原状回復ガイドライン」 「善管注意義務 (民法)」 「裁判判例」 などを持ち出せば、それらしいことも言えます。しかしそれでは、入居者との無用なトラブルを引き起こしかねません。 (ひいては、入居募集に影響も)
例↓
家主さんからの空室対策の依頼で、物件エリア仲介店に打ち合わせに行ったときの、店長さんと私のやりとり。
私 「この物件、条件的に問題ないどころか、むしろ良いはずなのに案内に至らない
のには、何か理由があるのですか?」
店長 「うーん、管理会社がねぇー」
私 「管理会社? 家主さんも褒めてましたよ。よくやってくれているって」
店長 「家主さんにはね。入居者には退去のとき、エゴイぐらいやっちゃうんですよ。
(原状回復費請求を) 」
私 「それで、怖くて案内できないと・・・」
店長 「そう。この物件だけじゃないし、この管理会社の物件はちょっと・・・。クレーム
もこっちに来ちゃうからね。有名な話ですよ!」
と、こういうことになりかねません。
また 「国交省の原状回復ガイドライン」を引用したものを契約の際に、特約として付けている場合が多いと思います。それにより一定の効果は見込めることは否定しませんが、訴訟に至った場合に絶対的な拘束力があるかというと疑問です。
色々なタイプの家主さんや管理会社がいらっしゃいます。原状回復については、画一的ではなく諸条件にあわせた提案をするべきなのです。例えばこんな家主さん(管理会社)はいませんか?
- 少しでも原状回復費を多く取って、再募集の際のリフォーム代を浮かしたい
- 訴訟になってもかまわない (悪いのは入居者)
- 入居者から原状回復費を少しでも多く取らないと、家主さんにあわせる顔がない (管理会社)
少し極端ですが、近いニュアンスのケースは珍しくありません。
●それでは、泣き寝入り?
もちろん、入居者に明らかな瑕疵が有る場合は別です。その場合、家主さんと同行して説明をさせていただきますし、譲歩する必要もありません。しかし何でもかんでも瑕疵にするわけにもいきませんし、その辺の線引きするにあたり 「家主さんの原状回復にまつわるスタンス」 を確認した上で、お話をする必要があるということです。
「損して得とれ」
「目先の1,000円より、次の100,000円?」
そんなことわざがあるかどうかは別にして、原状回復については 「将来的に賃貸経営が良い方向に行く選択をする」 という考え方も必要だと考えています。
例えば安易に訴訟を行ったなった場合、勝つことができれば、裁判中の賃料も保証されるケースがありますが、負ければ厳密に査定された上、賃料のほかに原状回復費においては 「貰える物も貰えない」 という悲惨なことになりかねません。 (判決金額に比例して、相手の裁判費用を負担した家主さんもおられます)
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