事故物件発生① ― 経験した家主さんは大変なことに
テレビのニュースを見ていると、このところ悪質な犯罪が多発しています。
職業柄、テレビ画面に映し出される事件現場が、賃貸アパート・マンションですと、家主さんの心情を察してしまいます。最近では、警察官が知り合いの女性を射殺して、自分も自殺した事件が、そのケースとして記憶に新しいところです。
“殺人を犯すとは、およそ考えられない立場の人間が、あっさりその行為を起してしまう”
そういう心理状態 (自己中心的・偏執気質) は、病的なものと言わざるを得ません。その病原体に犯されている人は、少なからず以下の影響を受けているのではないかと感じています。
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- ネット社会の弊害 (バーチャルな人間関係)
- ギャンブル依存 (特にパチンコは、犠牲者大)
- 多重債務 (ギャンブル資金の為なら犯罪も)
- 親の影響 (教育 ・ 離婚 ・ コミュニケーション不足)
これらの影響を受けている人が、すべて犯罪者予備軍とはいえません。しかし、実際に事件を起した人にとって無関係でないことも、その犯罪理由を聞いてみると明らかです。
そう考えると、世の中に犯罪にまつわる要因がはびこる中、今後の賃貸経営においても 「事故物件発生」 は、決して他人事ではありません。
- 予備知識として ― 札幌の事故物件事例
この事例は、家主さんが知らない間に 「事故物件扱い」 に、なってしまったアパートの顛末になります。
結論から書きます。
当時、空き室対策リサーチで訪れたアパートで、住民の方から
「このアパートの一室で、自殺未遂が2度行われた」
という事実を聞かされました。空室の多い原因は、一人の入居者の迷惑行為だったのです。
事故概要(2回目自殺未遂) ↓
家主さんから空室対策の依頼を受ける半年前、自殺未遂(2回目)を起した女性がいました。彼女は、睡眠薬を大量に飲み自殺を図ったのです。翌朝に目を覚まし、死に切れなかったことを自覚して、そのまま勤務先の病院へ向かいました。
そのときの状況は、玄関のドア開けっぱなしで、共用廊下に嘔吐物を撒き散らしながら部屋を出て行ったそうです。 その際、靴は片方しか履かずに、自転車に乗って行ったというのです。 (先に書きましたとおり、今回が2回目。1回目も睡眠薬で、そのときは自分で救急車を呼んだよのこと)
さらに信じられないことに
この事件を起した女性は平然と、そこに住み続けていました。
木造2階建て、10戸入りのアパートですから入居者は皆、周知の事実です。
と、いってもこの時点で彼女を入れて、3戸しか入居していません。事件から、半年で3人もの入居者が出て行ってしまったのです。
実はこの物件、ちゃんとした管理会社の委託物件でしたが、担当者は事実を把握していたにも拘らず、自殺未遂の報告は2回とも家主さんへされていませんでした。 (退去者の手続きの際も、家主さんへ本当の理由を言いません)
当時はそれらを踏まえ、家主さんと打ち合わせのうえ、次のような対応をしました。
- 入居者及び保証人(親)に、退去催告を通知
- 原状回復については、敷金以上の金額になった為、差額を親に請求
- 残る2世帯についても引越し費用負担、家賃免除など条件を提示して、移転していただく (次の住居も斡旋)
- 空き部屋対策については改修工事を行って、春の募集に間に合うように対応
↑ すべて良い方向に進みました (結果4室中3室埋めました)
また、対応を進める上で、家主さんから次のような要望もありました。
- 保証人及び管理会社に対して、今までの営業逸損分 (複数の退去者の分) を補償してもらいたい
- 退去後の自殺未遂の部屋について、保証人に今後の家賃保証を、一定期間してもらいたい
家主さんのお気持ちもわかります。実際に被害も出ています。しかし 「未遂」 という微妙な部分もあり、本人が平然と住んでいる経緯も考慮して、退去を最優先に話を進めることになりました。
「家主さんのリスクの中から、最悪のケース排除」 がその理由 ↓
もし訴訟になった場合、その間に何らかの理由で本当に 「自殺」 されたら ・・・ お互いに取り返しの付かないことになります。
現在も 「あの部屋」 は、あえて空き部屋のままにしているはずです。 もともと (事件前) 4室空いたわけですし、そのほかの3室が埋まったのですから 「上出来だった」 と私は今でも思っています。
次回は 「事故物件」 についての考え方など、もう少し掘り下げて書くことにします。
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