不動産経営 ⇔ 法人化の関係とは?
家主さん質問です。
「あなたは名刺交換をしますか?」
こう書くと何か変ですが、数年前までは、ご挨拶のときに私が名刺を差し出しても
「すいません、私は名刺もってないんです」
と、言われる家主さんが結構いらっしゃいました。
確かに、名刺を作っても法人化されていない家主さんの場合、肩書きが難しいです。
「賃貸業」 「アパート経営」 「借家業」 「オーナー」 ・・・
うーん、どれもしっくりきません (笑)
つまり、名刺交換の機会が増えたということは、法人化されている家主さんが増えたということでしょう。その証拠に、家主さんの法人化について 「会社法」 設立 (平成18年5月) 以降、相談が目立ち始めましたのを記憶しています。
そこで、今回は 「法人化」 について、お話することにしました。
●「賃貸経営」 ⇔ 「法人化」 の関係
- 法人化に移行する判断基準
いきなり、結論から ↓
「年間総収入が、1000万円以上になれば、法人化を検討する」
※年間総収入= 不動産所得 + その他の収入 (会社員なら年収)
という方向でいいと思います。
- 大まかな判断材料としての根拠
※ただし、法人は資本金の額が1億円以下で、課税金額が年1000万円以下、従業員50人以下の法人で算出 (一般的な、従業員のいない家主さんのケース)
【個人事業主】
【法人】
「あれ? なんだ、税率の部分では法人が不利がでしょ」
と思われるかもしれません。しかし、こう書いたらどうでしょう?
【個人事業主】
総収入−必要経費 = 不動産所得 ⇒ (ここに所得税・地方税を課税)
【法人】
総収入−必要経費−役員報酬=法人利益 ⇒ (ここに法人税・地方税を課税)
おわかりになりましたか? 法人の公式の中の 「役員報酬」 と 「法人利益」 のところがミソです。
「役員報酬」
賃貸経営の場合、通常は法人化するにあたり、同族で管理会社を設立します。ですから、嫁さんや親御さんなどを役員に登記して、役員報酬を計上することができます。
つまり、経費 (損金) 扱いになります。もちろん個人として役員報酬には、所得税がかかります。 (会社法施行以前は、その役員報酬に対しても給与所得控除があって、2重に恩恵があったのですが・・・)
「法人利益」
この法人利益に対して、法人税・各地方税がかかります。但し、赤字 (または0円) になれば話は別です。節税手段として適正な金額であれば、役員報酬を引き上げて利益が出ないようにするケースが多いです。
法人利益が出ないと ⇒ 法人税は0円。道市民税均等割分の合計、7万円のみになります。 (税理士顧問料、4万〜5万円も忘れずに)
●補足
個人事業主と法人、あくまで一般的な例としてシュミレーションしました。
個人事業主の場合、利益が出なければ事業税は0円ですが、必要経費 (控除) の上限が収入別に設定されています。
法人の場合は決算からみで、容易に役員報酬を変更できないなどの制約があります。また役員報酬の所得税に加え、個人所得分の地方税もかかりますので、法人と個人の収支バランスも関係してきます。
まだまだ書ききれない中身があります。
最終的には、事業規模や収益をきちんと把握し、税理士さんに相談するなどして検討されるのが望ましいと思います。
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