立ち退き交渉 − いつか来る日のために
私は過去に、何度も立ち退き交渉に携わってきました。その事由は 「物件建物の解体」 と 「物件の再生に伴う、大規模なリノベーション工事」 の二つでした。
当たり前の話ですが、家主側の都合により退去をお願いするわけですから、入居者に立退き料を支払わなければなりません。しかし、これが簡単にいかないんですね (笑)
なぜなら ―― 立ち退き交渉の手法自体に問題がなくても 「入居者の都合」 や 「引越し先の問題」 などが障害となるからです。また変な話ですが 「家主さんと入居者の日ごろの関係」 が退去交渉条件に影響することも ・・・
● 立ち退き交渉の極意?
家主さんが 「立退き料を伴う、新しい事業計画」 を策定するとき、その費用を見込みます。しかし、この費用の設定をあくまで、目安と捉えなければいけない現実があります。つまり 『相場が通用しない』 と言っても過言ではありません。
その要因として ↓
○金銭的な問題 (札幌の例)
新しく借りる賃貸住宅のための補助的補償 ⇒ 家賃の5ヶ月程度
引越し代+迷惑料 ⇒ 30万程度または家賃3〜4ヶ月分
これらは、経験則上の標準値と考えていますが、ケースによっては 「引越し代+迷惑料だけ」 で済むこともありますし、家賃を1年分相当支払った上で、引越し先のリフォーム代まで負担することもあります。つまり、交渉相手の出方で決まるわけです。
さらに、困るケースは 「現状の家賃を、下げきっている」 場合です。入居者にとって、次の賃貸住宅の家賃が値上がりすることは、ありえない話です。仮に同等の家賃のところに案内しても、今より物件の内容 (仕様) が悪くなれば、入居者は納得してくれません。
また、新しく部屋を借りるための補助的補償や迷惑料も 「現状の安い家賃」 が算定根拠となります。そのために立ち退き料の支払い金額が低くなり、交渉が進まない要因となることがあります。
(まあ、経営改善のために退去を伴う新規事業展開をするわけですから 「既存の家賃を下げきっている」 ことは良くある話で、ある意味しょうがないです)
○入居者の都合
-
- 子供の教育事情 (受験時期、学校区の問題)
- 仕事が忙しく、引越しどころでない
- この部屋が、気に入っている ?
書き出したらキリがありませんので、簡単に済ませます (笑)
時間的猶予の条件等で解決することもありますが 「この部屋が気に入っている」 と言われたら ・・・ 結構苦労します (汗)
○普段から、入居者と家主 (管理会社) の関係が ?
-
- クレームなどの対応で、家主 (管理会社) に不満がある
- 普段から自主管理家主が、口やかましい
- 家賃滞納したときの対応が、情け無用だった
- 住んでいる環境に対しての要望などを、聞いてもらえなかった
おかしな話ですが、 「それなら、すぐに退去すればいいのに」 と、私などは何時も思っていました。ところが、こんなことを言い出す入居者に限って、ここぞとばかり ・・・ もう大変です。
ここで肝心なのは、普段から入居者と良好な関係を築いておくことです。それは、立ち退きの時のためでもありますが、なによりも賃貸経営の基本ですよね。
最後に
立ち退きは、その道のプロに任せるしかないのが現状です。しかし、いつか来る日のために家主さんが、準備できることもあります。
例えば ↓
○定期借家契約
所有物件が古くなってきたり、中古物件を購入したことを前提として話します。仮にその物件が築20年とすれば、建替え時期はあと10年でしょうか?
でしたら、新規契約を結ぶ時に 「賃貸借契約は10年を上限として 『再契約型』 の定期借家契約を結ぶ」 のも良い方法です。もちろん今後、新規契約する入居者に対しては、その契約期間を短縮していきます。
そうすれば、建替え時期 (10年後) には、ほとんどの契約が満期を迎えて、立退き料は回避できます。
立ち退きは、失敗すると次の事業の利回りに影響するだけでなく、最悪の場合すべてがパーになる可能性があります。といっても、実際に交渉してみなければ判らないデリケートな部分もあり、その交渉には経験が必要です。
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