中小企業 − 組織化への壁


従業員20名程度の規模の法人オーナー (社長) さんとお話しする機会が過去に何度かありました。所用を済ますと雑談から 「会社の事業のことや、マネジャーとしての姿勢」などの話題へ ・・・


私の勝手な想像ですが、普段、社長さんたちは 「この手の話をする機会が、あまりないのかな?」 と感じています。ですから、利害の発生しない立場の人間 (私) に、熱く語ってくれるのかも知れませんね。


事業については、社長さんの経営戦略にかかわりますので、言及できるはずもありません。ですから、あまり深くは立ち入らないようにしています。しかし、マネージャー (経営者) の姿勢などの話題になると ・・・ ある意味、業種を超えてディスカッションが可能だと考えているので、ついつい話し込んでしまいます (笑)



● 脱プレーヤーの難しさ ― 社長さんの悩み

少人数の会社において

「あいつに任せるより、自分がやったほうが良かった」
「うちの社員は、まだまだ未熟だ」
「会社の営業には、すべて関与するべきだ」

このような考え方を持った、社長さんは居ませんか? また、社長さんに限らず、セクションを新しく任された若いビジネスパーソンにも、ありがちな考え方です。それは、優秀なプレーヤーだったからこそ 「すべて自分で解決する癖」 が身に付いているとも言えます。


しかし、その考え方には物理的な限界があります。たとえプレーヤーとして優秀な人材でも、10人、20人の業務をカバーできるはずがありません。客観的にそのような人を見ると、元来の強い責任感からでしょうか、早期の結果を求めすぎている 「焦り」 すら伺えます。 


これは私の所感ですが、上記のようなマネージャーは、永久にプレーヤーのままのような気がします。つまり会社の組織化または、部門長としての統括は難しいと言わざるを得ません。



● 『部下に任せる』 勇気を持つ

一言で 『部下に任せる』 と言っても、この意味には中々奥深いものがあります。

  • 部下の意見に耳を貸し、取捨選択後に自分の判断材料とする
  • 会社の抱えている問題を共有化し、一体感のある経営を実現する 
  • 会社の指針、営業施策などの 「道筋とゴール」 を策定し、部下の一業務に介入しない

いわゆるワンマン社長さんの中には、上記のようなスタンスが取れていない人がいるようです。


こんな例もあります ↓

ある会社の社長さんから、こんな話しを聞きました。
「うちの営業力は、未成熟なんですよ。いい技術とビジネスプランを持っているのに活かしきれていない。どうしたものか ・・・」
しかし私は、長い付き合いから 「営業力の問題」 ではないと感じていました。



この社長さん、たしかに日ごろ熱心に営業指導はしていました。
では何故、結果が出なかったのでしょうか?
 それは各社員の業務の細部まで、いちい介入しすぎていたからなのです。


その弊害 ↓

    • 指示・指導内容が都度ブレて、社員に迷いと萎縮が生じている
    • 営業の現場と社長の意向に矛盾があっても、社員から提言できない雰囲気を生んでいる
    • 仕事の出来る自分 (社長) と同じ姿を、社員を求めているので 「それ以下の人材」 を社長は信用出来ない 

つまり、社長である自分が 「本当の意味でのリーダーシップ」 を取ることが出来ず 「社員の育成」 「会社の組織化」 「情報の共有化」 という、マネジャーとしての役割を果していなかったのです。



私はあるとき、この社長さんに提言しました。
「社長が営業力強化に、熱心なことは承知しています。しかし、まず先にそうしなくても良いような社内環境を作ることに尽力したらどうでしょう?」
すこし抽象的な言い方だったせいもありますが、彼はすぐに理解できなかったようでした。外部から見ると明らかなことが、コアな企業環境では、その 「一生懸命さ」 ゆえに見えてこない実態もあります。


少人数の会社であればこそ “結果につながるプロセス” への舵取りが必要となります。社長さんは 「会社という船」 のキャプテン (船長)です。 船が大きくなれば、とても一人で操れません。 『部下に任せる勇気』 をもって社会の荒波を乗り越えましょう。


もし、それを成し遂げることが出来たなら ―― 
これらのことを理解した 「ナンバー2」 が育ち、社長の意を汲んだ社員達と共に、会社は必ず良い方向へ向かうはずです。


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