空室で収益の悪化・・・病気と同じです(時には手術も必要)


先に書きました、いわゆる「有益な情報」に振り回され、コアな付き合いの中で無駄な投資をしてしまった家主さんのお話です。


この家主さんは専任仲介を兼ねた管理会社からの提案で、700万円を改修工事に投資しました。(工事の内容は一般的に良いとされる、3点式ユニットバスのトイレを分離させる工事です)札幌駅から徒歩10分の立地ながら、24戸中12戸空き室という末期的な症状でした。(築15年S造6階建て)


その後「本当に満室になるか不安。満室にならないと、お金がまわらない」と、この家主さんから相談を受けました。


そこで私は、改修(改悪?)後の家賃設定・収支・近隣の新築リサーチおよび築年別家賃帯調査等、最終的に複数の仲介店へ聞き込みを実施して、この物件のマーケティングに結論を出しました。経験則上、直感的にこの内容で満室にするのは難しいと思っていましたが、やはり現実的なお話を、家主さんにせざるを得ませんでした。


以下要点です

  • 19㎡の狭い2間続きの1DK(5帖+6帖)に対し、さらに独立させたトイレ・洗濯機置き場を居室スペースに設置しても、実質は10帖1Rとなり全く入居者のニーズにヒットしない
  • 上記内容で、家賃45,000円(3,000円アップ)は市場相場に逆行 (形だけの収支計画)
  • この地域の入居者層は比較的ハイクラス。札幌中心部に勤める独身世帯で家賃帯も55,000〜65,000円。それだけに、要求レベルも高い
  • 結論として設定の家賃45,000円で、この部屋の内容では案内まで至るお客様は、ほとんどいない。仮に家賃を投資に対する収支を無視して、3万円台に落としても12室を満室にするのは、非常に難しい (専任仲介担当者が、家賃を下げさせないはずです→その訳は・・・)


「それでは、困る」という家主さんに対し、次の提案をさせていただきました

  • 現在の工事を1期で中止(6室でストップ)→350万円は失いましたが、逆に350万円助かったという感覚を持っていただきました
  • 12戸の空き室に対し、隣同士の2戸を1戸に合体させ、38㎡の1LDKに改修をする(6戸になる)→独立対面キッチン、ユーティリティー・1216サイズユニットバス(液晶テレビ・乾燥機付)・ウォークインクローゼット・セキュリティーシステム・居間12帖(新築家賃帯よりも割安感を出しながら、内容は同等以上)
  • 上記の内容を実施するにあたり、家主さんの協力を基に引渡し時に満室を保証させていただく→1500万円の追加融資付け・入居者の移動・専任仲介店への交渉・建築工事管理まで担当させていただきました(実は私、建築業界出身です)


実際の契約書の中身は結構複雑になりましたが、家主さんの理解を得て2期に分けて新しい工事はスタートしました。結果は工事完了時の3月には、6室すべて契約完了。満室を達成できました。

収支も均した家賃設定(管理費別)の58,000円×6戸×12ヶ月=4,176,000円(年間)で1850万円の投資から、金利・経費を含めた利回りは約16%となりました。
失った350万円も計上していますから、実質利回りはさらに良くなります。


家主さんは「高い授業料だった」と言っていましたが、決して目は笑っていませんでした・・・そりゃーそうですよね!


このケース、大手術に見えるかもしれません。しかし、家主さんの物件を数々診察?していると、決してレアなケースとはいえません。また、過去の経験から助からない患者さんもいたことも事実としてあります。


その場合は、売却 (空いていると安いですが、1年程度お時間をいただけるケースでは、そこそこ値段をつけることも可能) また、賃貸物件に向いていない場所でも、商業施設に適している場合もあります。そのようなケースでは、土地活用 (定期借地・リースバックなど) をお勧めしてきました。

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