家主さんの相続問題について ①


過去にアパート再建問題で、コンサルしたときのお話です。一度、この相談はご破算になりましたが、その一年後に再び再開。その1年の間に何があったのでしょうか?経緯を追ってお話します。

  • 1年前の相談の概要

この方の物件は、札幌市の北区の比較的西の地域にありました。(築25年S造3階建て、18戸の1DK)地下鉄沿線ではないものの、近隣に大きな専門学校や少し歩けば大学があり、空室対策は比較的容易な部類の案件と思いながら、当時訪問した記憶があります。


しかしお話を聞いてびっくり、空室率84%つまり18戸中15戸が空いているという状況。家賃は28,000円と限界まで下げきっているため、入居者の質も悪く駐車場に放置車両があるなど、お決まりのパターンに陥っていました。(外観はお化け屋敷?)


所有者の家主さんは高齢のため、今回の相談者と同じ次男の方と、打ち合わせはスタートしました。この時点で相続時精算制度を利用して、この次男の方はアパートを、長男の方はお父さまの家屋敷を生前贈与されていました。また、良い条件としてこのアパート+土地の評価額が2500万円以下でしたので、贈与税負担は0円だったのです。


さらに、相続清算時にもこの評価額が適用されるため、相続税に対する心配はそれほどない状況でした。(すばらしい!)当然、このアパートに対する残債もなく、「よーし、お父さんが建てた新築時よりも数段良い利回りで、これからアパート経営をがんばりましょう!」とプロジェクトはスタートしたのですが・・・


満室へマーケティングも完了し、引渡し時の満室保証の前提で、新築に負けない内外装工事、部屋の統合(9室へ)、駐車場の舗装化などで工事費は2800万円。家賃設定の後、15年先までの空室率を想定したキャッシュフローのシュミレーションでは、金利・経費を含めた利回り18.8%、(入居者の駐車場代は含むが、余った駐車スペースの月極め賃料含まない)


また、銀行の融資付けも問題ありませんでした。さらに、専任の仲介・管理会社への承諾も取り付けて(ここが難関なんです! しかし最終的には理解をしていただき、打ち合わせに同行するまでに・・・)後は、次男の方の決断を待つだけの状況でした。


ところが・・・この次男の方は現役のサラリーマンでしたので、2800万円の投資に対し明らかに腰が引けていました。(長男が反対していたこともありますが・・・)


【家主さんのメリット・リスク回避】

    • 年間700万円の収益 (実質手残りでも350万円以上) を得るための投資ということ
    • このままでは維持費もかかり固定資産税の下敷きになる (すでに3階が雨漏りで住めない状況)
    • 通常であればこの場所で土地を購入して、同様の新築アパートを建てたら5000万円以上かかる (解体費も加わる)
    • 売却するでは、メリットが出ない (このままでは値段が付かないし、税金問題もある)


などを、ご説明しましたが結局、決断していただけませんでした。


当時、彼のお話をよく聞かせていただき、それに対しての疑問や不安をすべて解消・納得していただいたはずでした。けれど、決断できなかった彼の胸の内は、1年の間にどう変わったのか? 

明日、ご報告します。

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