家主さんの相続問題について ②


お父様のアパートを生前贈与された、息子さんの話の続きです。

  • 1年後にお会いしたときのお話

彼とは、ほぼ1年ぶりの再会でしたが、そんなブランクもお互い感じさせない雰囲気で打ち合わせはスタートしました。(物件のアパートは、相変わらず18戸中15戸空きの状態でした)



彼の話を聞くと、やはりこの一年間は売却の道を模索していたそうです。事業用として売却するにもこの状態では値が付かず、土地として売却しようにも手残りは900万円程度との結論がでたそうです。上物の解体費及び39%の譲渡税が、思いのほか重くのしかかってきた為です。



譲渡税に関しては、皮肉なことに相続(贈与)が裏目に出てきたケースとなりました。つまり、通常であれば取得費用と売却価格の差=譲渡益に対して課税されますが、彼の場合は贈与ですのでほぼ100%の譲渡益となります。売却金額に対し、まるまる課税されては確かにしんどいです。


さらに短期譲渡の課税率39%が適用されますので(長期20%)既存アパートの解体費とあわせると、土地売却金額の半分ほど消えてなくなる計算です。(仲介手数料もばかになりませんし・・・)


売却に関しての譲渡税の問題と、アパートの解体の概算金額のお話は当時させていただいたはずでしたが、土地の査定をした上できちんとシュミレーションするべきだったと、私も反省しました。「まあ、悔やんでいても仕方がないですから」 ということで、お互い前向きに話は進みました。


現状での売却を断念した、彼に対し

であれば、3年以内に合計1000万円を収入としてあげることができる、アパート経営に挑戦してみましょう。将来的にも満室での売却であれば、投資金額の2800万円以上の売価は間違いなく付くはずですから。長い目で見てアパート経営で収益を上げていきましょう

と私は話し、また彼とのアパート再建計画はスタートしました。(詳しいプロセスは省略しますが、結果は上手くいき予定通り全室満室となりました)


  • 当時の反省点

私は今まで、相続税対策に失敗して大切な物件を手放したり、分納を余儀なくされて財務省に抵当権を付けられてしまった家主さんたちを見てきました。(財務省に抵当権を打たれたら、新たな融資はかなり難しいです)そんな中、彼は相続問題を乗り切って、これから新たな家主さんデビューを果たすことができ、本当に良かったと思います。



当時の反省点としては、「良い条件での相続に対し、インカムゲインを勧めきれなかったこと」に尽きます。そして、この時の空白になった1年間は、大変もったいないことをしたと感じています。

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