家主さんの決断 ② ― 新築か、リフォーム か? 

昨日の内容の続きです。


この家主さんが 「新築」を選んだ理由 

    • 最終的に建築費の値引きが1,000万円、総工費が解体を含め8,000万円台へ。
    • この物件のほかに3棟所有。自分の代で1度新築を建ててみたかったという夢。
    • 複数棟所有ということもあり 「サブリース契約」 を結ぶことによって、収入が安定して面倒がかからないという判断。 (甘い?想定利回り11%)
    • 事業計画書をもとに融資申込みをしたら、すんなり承認された ― お墨付き?の感覚から。

以上は、家主さんとのやり取りの中での私の所感で書きました。


私はどうしても、この不動産建設会社が家主さんの利益(将来)を考えているとは、思えません。交渉の中身は計り知れませんが、新築物件の仕様やサブリース契約内容を検討し、メリットとリスクを分析すれば、おのずと結論は出るはずです。


サブリース契約の中身は? ― 確認事項 

ここでは、この会社のサブリース契約の中身については言及しませんが、確認事項として列記します。

    1. 家賃保証の条件に、メンテナンス要綱についての記述があります。それらを遵守しなければ保証されないケースもあります。 (結構、過剰な内容もあり家主さんの負担は大きくなります)
    2. 物件に付加価値を見込んでいるか? (たとえ見込んでいても、30年間の市場変化に対応できるとは、常識で考えられません)
    3. 家主さん自身がこの内容で満室にできるかどうか、しっかり分析しているか? (建築費も安いし、家賃も保証されているからと無関心のケースも)
    4. サブリース契約の中で賃料(家賃保証額)の見直しについての取扱いは? (空室が増えてくると賃料減額請求権を盾に、減額され収支に影響します)


不動産建築会社の営業マンも必死です。1棟契約すれば、1年食べていけるとも言われています。


特に重要なのは、最後にかきました 「賃料減額請求権」 になります。厳密に言えば増額請求権もありますが、現実的に建物が古くなっていくのに家賃を上げるなんてことは、ありえませんので有名無実です。必ず特約条項 (確定賃料支払い約束条項) を結び、「賃料減額請求権」を排除しなければなりません。
その際、建物維持条件の厳格化 (負担大) や当初より賃料を大幅に下げられるケースもあります。(家主さんが言わないと、特約の存在を黙っている場合もあります)



逆説的に言うと、サブリース契約を不動産建設会社が結んだということは、その会社が困らない内容で 「こと」 が運んだといっても良いのではないでしょうか。


家主さんへの提言として

事業をしていく上で、投資は必要です。億の単位で借り入れをしている家主さんのほとんどは、キャッシュフロー経営を心がけており、リスクに対する感覚には、目を見張るものがあります。


「家賃保証が30年継続し、面倒なことも無く収益を上げることができる」
この裏には、それなりのリスクが隠れていることを認識してください。


新築の半分以下の投資で満室経営が可能、さらに将来的に良い条件での売却も視野に入れられるのであれば 

リフォーム」 

という選択肢もアリではないでしょうか?



最後に
今回は、サブリース契約の新築についてお話した関係上、このような内容になりました。もちろんすべて新築が悪い、というわけではありません。


その内容を専門家に精査してもらうなり、リスクへの配慮 (満室への裏づけ) が高い精度で確認できれば、新築もありでしょう。そういう意味では、住宅メーカー系のコンサル社員などは資質も高く、セカンドオピニオンとして信頼できると思います。 (不動産会社のアパート建設社員は ・・・ ?)

 人気ブログランキングへ 
      ↑↑↑                                          ブログランキングに参加しています!                        ワンクリックのご協力をお願いします!!