家主さん vs 入居者 ― 究極の結末 ①


大げさなタイトルになりました。 (笑)
不動産会社勤務時代には、家主さんと入居者のトラブルを幾度となく見てきた私ですが、家賃滞納がらみの “究極の結末” といえば

「明渡し請求訴訟 → 強制執行

でしょう。  今回も、実例をあげてご紹介します。
いつ何時、あなたの物件からこのような事例が、出ないとも限りません。ご参考にしてください。

  • 退去前の現地調査のはずが・・・

ある日、手稲区の住宅街にあるアパートの家主さんから連絡が入りました。


「現在、入居中だけど近々退去するので、新規募集できるようにリフォームをしたい。入居者に話しておくから、見て来てくれないかい」


と、軽い感じで頼まれました。よくあるパターンなので特に気にもせず、 「わかりました」 と返事をしたまでは良かったのですが・・・


        


私は7月の下旬、蒸すような暑さの中、そのアパートを訪れました


「うわぁー、いつもながら外回りが汚いなー」


ここの家主さん、近隣の地主さんでもあるのですが 「自主管理」 をしています。 (2年ほど前に雨漏りの修理を、させてもらった経緯があります) 雑草は生え放題、また普段から、入居者に対し厳しいことを言わない人でしたので、アパートの周りには、家電(冷蔵庫・テレビ・ストーブ)の残置物が転がっていたのです。


築28年、木造2階建てのアパート。102号室のチャイムを鳴らすと、平日の昼間にもかかわらず、年のころは50歳ぐらいだろうか ? 無精ひげ + ランニングシャツの男がでてきました。 


「こんにちは、家主の田中さん(仮名)の依頼できました。お話伺っていますか?」


と、あいさつすると男は


「聞いてるよ、どうぞ」


と言って、玄関のすぐ脇に有る居間のドアを空けて、私をあっさり向かい入れてくれました。そこから、中の様子を見て私は愕然としました。散らかった8帖ほどのリビングダイニングに座卓が置いてあり、それを囲むように3人の子供 (みんな中高生か?)と奥さんが座っていたのです。

「・・・何で、 昼間から」

そんな私に対して、調査中も彼らは無関心を通しました。
そして、お決まりのクロス、建具、たたみ、フロアー、設備類のチェック等を済ませると、何点か気になることがあったのです。

    • ユニットバスが物置になっている (しばらく使っていない様子)
    • 給湯ボイラーが凍結で配管がパンクしている (缶体もあやしい)
    • 2LDKの2室の和室、ともに布団が敷きっぱなし (調査にくるとわかっているのに)
    • 加えて、とにかくどこも汚い (片付けた形跡なし)

私は、調査が終わり家主さんの家へ向かう途中、それらの状況についてどう考えたら良いのか、ずっと考えていました。

そして、家主さんにお会いした時に、こう言いました。


「田中さん、あの入居者はいったい何年、滞納しているんですか?」


「判るかい?」  (そりゃーわかりますって!)


「2年になるかなー それでこの前、強制執行の判決もらったから、やつらはお盆前に出て行くんだ。」


(2年って・・・ありえないでしょ)

「そ、それで、お盆前というのは執行日のことですか?」


「そうだよ」


そう、あっさり家主さんは答えると、今までの経緯を話してくれました。
この入居者は、ここに8年ほど住んでいて、当初より滞納を繰り返しながら、時には3ヶ月以上の滞納もあったそうです。そして、この旦那さんが失業したのが1年半前、すぐに継続的な滞納が始まり、督促、内容証明送付をへて訴訟へ。 (たまに、旦那さんは仕事に出ていたようですが、それでも累積滞納月数は24ヶ月)


私には、すぐに損得計算をする悪い癖があるので、この家主さんの損害を計算してみることに。

    • 家賃損失  ・・・55,000円 × 24ヶ月 = 1,320,000円 (管理・駐車場込み)
    • 裁判費用  ・・・概算 600,000円
    • 今回改修費 ・・・概算 600,000円 (原状回復)


合計で2,520,000円にもなります。
もちろん、滞納した入居者が悪いのは間違いありません。
彼らも、そのことは十分に自覚しています。その証拠に冬の間、ボイラーが壊れても家主さんに報告できず、この1年間は風呂なし、お湯なしの生活をしてきた訳ですから。
(子供たちも学校に言っていないかも)


・・・しかし反面、家主さんの賃貸経営に対する姿勢は、どうだったのでしょうか?

 
(この家主さんと初めてお会いしたときから、単なるリフォーム屋と接していた私も悪いです。そのとき、家主さんの悩みを聞いていれば、早期退去も可能だったかも知れません)


そして、更なる不幸がこの家主さんを襲ったのです。 (私にも?)
その後の顛末は、また明日。

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