入居者トラブルの際のプライバシー問題 (家賃滞納編)
以前のブログにて、以下のコラムを書かせていただきました。
○家主さんvs入居者 究極の結末 ③
⇒ http://d.hatena.ne.jp/ageing-field/20070820/1192462016
○賃貸経営トラブルを法的に解決する勇気
⇒ http://d.hatena.ne.jp/ageing-field/20070905/1192460832
何れも入居者トラブルの話ですが、特に家賃滞納において “家主さんの対応が不適切” なために入居者に、そこを逆手に取られ困ったケースを紹介します。 (管理委託している場合、本来は管理会社担当者が事前に注意するべきことばかりです)
いずれも 「そんなバカな!」 と思われるかも知れません。しかし、本当にあった話です。一応、弁護士さんの裏をとってあります。参考になるかどうか ・・・
○入居者の玄関ドアに家賃督促の張り紙をしていいのか?
家賃滞納をしている入居者と連絡が取れず、ほとほと困った家主さんが入居者の玄関ドアに、次のような張り紙をしているところを見たことがあります。
「10月30日までに滞納家賃3か月分、計120,000円を支払うこと。場合によっては、法的処置をとることになります」
とか、ひどいのになると (これでも強烈ですが ・・・)
「207号室の鍵を取り替えました。直ちに連絡を下さい」
なんてのもありました。
これは、やはり入居者のプライバシー侵害になるそうです。当然この共用廊下を通る他の入居者や宅配業者などの第三者が、この張り紙を見れば、ここの入居者が 「家賃滞納などの問題を抱えている」 ことがバレバレです。さらに言えば、これは貸し金業者がドアに督促状を張る行為と同じだそうです。 (もちろん違法取立て行為となる)
つまり、この張り紙行為はダメだということになります。
○勤務先に督促の電話連絡は違法?
結論は ↓
「勤務先への電話連絡自体は違法といえないが、そのかけ方いかんではプライバシー侵害にあたる」
可能性があるそうです。
わたしは先述の 『家主さんvs入居者 究極の結末 ③』 において
「自宅に連絡しても入金がない、又は連絡が取れないときは勤務先へ連絡する」(冷静に対応してください)
と書きました。チョット言葉足らずでしたので、その補足になります。
(冷静に対応してください) この部分がポイントとなります。つまり、家主さんが 「いつ家賃を払ってくれるんだ!」 とエキサイトして怒鳴れば、電話先の入居者は 「もう少し待ってください」 とか 「月末に払います」 などと答えざるを得ません。そうなれば、第三者 (会社の人) の知るところになるでしょう。そこが、プライベートの侵害にあたるわけです。
また、稀に 「督促のために入居者の会社を訪問した」 という猛者の家主さんがいます。訪問自体は違法ではないようですが、電話の場合より対応がデリケートになるので、やめておいたほうが無難です。
最後に
残念ながら、家主さんの力でトラブル解決に至らない場合は、弁護士さんに対応を依頼することになります。しかし、いい加減こじれてからでは、解決への道のりは厳しいものになります。少なくとも、契約解除の内容証明を出す段階ぐらいで、弁護士さんに依頼するのがベストではないでしょうか?
入居者も勉強しています。相手側に家賃滞納とか、管理上のクレームなどの原因があるにせよ、家主さんの対応いかんでは逆手に取られることも珍しくありません。
また管理会社は法的トラブルへの介入を嫌がります。任せきりにすると問題解決に際し、遠回りになることもありますので注意が必要です。
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